AIだなんだと騒がしいばかりで、疲れてしまうのでAIに全く関係ない内容を書こうと思います。
タイトルの彼は、私の個人プロジェクトに影響を与えた人物です。 (※個人プロジェクトの話は、また別の機会に。)
ある日、ロンドンの街中をマイクを持って歩き、いろいろな音を録音している人物を紹介する番組を見ました。 数分程度の短い特集だったのですが、かなり興味を引かれました。
その人物が、【イアン・ロウズ(Ian Rawes, 1965–2021)】です。
イアン・ロウズは、ロンドンの街に存在するさまざまな音を長年録音していた人物です。
古い地下鉄の音、市場の声、道路の騒音、川の音、街角の古びた公衆電話の音。 普段生活していると、わざわざ録音しようとは思わないような音も数多く記録してアーカイブ集を公開しています。
ロウズが本格的にロンドンのフィールドレコーディングを始めたのは2008年。当時43歳でした。 最初期には、洋服中心の路上マーケットで賑わうPetticoat Lane Market周辺の音など録音しています。
録音を始めた翌年の2009年、ロウズは 【London Sound Survey】 というWebサイトを公開します。
https://www.soundsurvey.org.uk/
単純に音声ファイルを並べただけではなく、録音した場所やテーマごとに整理されています。
例えば、
「きれいな音」だけではなく、騒音や機械音まで対象になっているところが興味深いです。
また、アーカイブにはロウズ自身が録音したものだけではなく、過去の録音や他の人から提供された音源なども集められています。 2020年頃には、2,000件を超える録音が掲載されていました。
2019年、ロウズはLondon Sound Surveyの録音資料のコピーを London Metropolitan Archives(LMA)へ寄贈しています。
最初は一人で始めた録音活動が、最終的にはロンドンの歴史資料として保存されることになります。 個人の何気ない記録が、貴重な歴史資料と認められたのでした。
写真や映像でなら記録しようと意識しますが、音、ましてや騒音や不快だと嫌悪されるよう音まで残そうと考える人はそれほど多くないでしょう。
街が変われば、当然その街の音も変わります。 我々が働くこの街にも、今では聞けない音で溢れていたに違いありません。
London Sound Surveyを知ってから、私は「未来に残し、伝える」行為が如何に尊いものなのか考えるようになりました。
興味を持ってもらえたら、彼のアーカイブ集を覗いて(聴いて)みてください。