SNSなどでアニメやゲーム系のイラストを見たとき、ぱっと一目で細部を確認しなくても「これはAIだな」となる事はありませんか?
手や指の数がおかしいわけでも、顔が崩れているわけでもない。 キャラクターの前髪の分け目やピアスの数が間違っているわけでもない。 それでも、画面全体から漂う独特の雰囲気によって、なぜかAIらしさを感じ取ってしまいます。
では、私たちは絵のどこを見て「AIっぽい」と判断しているのでしょうか。
※AIイラストを確実に見分けられるわけではありません ここで紹介するのはAI画像の判定方法ではありません。あくまでも、SNSや広告などでよく目にする生成イラストに、どのような共通点を感じるかという個人的な考察です。 人間が描いたデジタルイラストでも、塗り方や仕上げ方によってAI生成だと誤解されることがあるので、ご注意ください。
うわ!これこれ! って思いませんか? 上のイラストには、目立った破綻はありません。
色は美しく、顔も整っており、髪や衣装も細かく描かれています。
それでも、多くの人がこの絵を見て「AIで作られたのではないか」と感じるのではないでしょうか。
SNSで見かけるAIイラストには、いくつかの共通した傾向があります。
大きく輝く瞳、滑らかで均一な肌、一本一本まで細かく描かれたつやのある髪。 さらに、ピンクや青を使った光、花びら、宝石、リボン、光の粒など、画面を華やかにする要素が数多く盛り込まれています。
一つひとつの表現が不自然なわけではありませんが要素が何度も同じように組み合わされることで、個別の作品を超えた「AIイラストらしい絵柄」が生まれているように感じます。
人が絵を描く場合、見せたい部分を細かく描き、それ以外はあえて省略することがあります。 一方、AIイラストはどこを見てもきれいに仕上がっているため、主役とそれ以外の強弱が分かりにくくなることがあります。
また、顔、髪、衣装、アクセサリー、背景まで、画面全体が同じような密度で仕上げられていることも特徴の一つです。
華やかで完成度は高いものの、「その光がどこから当たっているのか」「なぜその場所に装飾があるのか」を考えると、はっきりした理由が見つからない場合があります。
AIは、魅力的なイラストによく登場する要素を組み合わせることは得意です。 しかし、それぞれの要素が必要になった背景や、作者が何を見せるために選んだのかまでは、絵から読み取りにくいことがあります。
ただし、AIイラストだと感じる最大の理由は、絵の中にある不自然さだけではないと思います。
画像生成AIが普及し、さまざまな個人や企業がAI画像を使うようになりました。 SNSの投稿、Web広告、動画のサムネイル、企業サイト、ブログのアイキャッチなど、私たちは毎日のように生成画像を目にしています。
同じ画像生成サービスや似たモデルが広く使われれば、作る人や指示する内容が違っても、顔立ち、塗り、光の表現、構図などに似た傾向が現れます。
そのような画像を繰り返し目にしたことで、見る側も「AIが作る絵とはこういうものだ」という特徴を無意識に学習したのではないでしょうか。
私たちは毎回、指の数や光源を細かく調べているわけではありません。過去に見た大量のAI画像と新しく見た絵を瞬間的に照らし合わせ、似た雰囲気を感じたときに「これはAIっぽい」と判断しているのだと思います。
ある意味では、画像を生成するAIだけでなく、それを見る人間の側も、多くの画像から共通点を学習していると言えます。
上のイラストは、最初の幻想的なイラストよりも装飾や光の演出を抑えています。衣装や背景も比較的シンプルです。
それでも、整った顔、定型的な笑顔、均一な線と塗り、癖の少ない構図などから、AIらしさを感じる人もいるでしょう。
つまり、AIらしさは単純な「描き込みすぎ」だけで生まれるものではありません。顔立ち、配色、塗り、表情、構図といった複数の小さな特徴が重なり、それを見慣れた私たちが一つのパターンとして認識しているのだと考えられます。
生成AIを使えば、専門的な技術がなくても短時間で完成度の高い画像を作れます。費用や制作時間を抑えられるため、個人だけでなく企業にとっても便利なツールです。
一方で、多くの人や企業が同じような生成画像をそのまま使えば、広告やWebサイトに並ぶビジュアルも似たものになっていきます。
「なぜかAIだと分かる」という感覚は、AIの失敗を見抜いているというより、私たちがすでにAIの絵柄を覚えてしまった結果なのかもしれません。
コスパ重視で生成AI画像を使用するも、「AI画像か~」と無視されたり、ほかの投稿や広告の中に埋もれて見られなくなってしまうというケースもあります。
生成AIを使いたい場合は、生成された画像を完成品としてそのまま使うのではなく、目的に合わせて構図や色を調整し、不要な装飾を減らし、その企業や作品ならではの特徴を加えることが重要です。
また、生成AIに嫌悪感を感じる人も多くいることを理解し、適切な場所で使うようにしましょう。